Sunset in the mountains

発注担当者に求められる能力を整理する

遠藤 結万

早稲田大学卒業後、Google Japanに入社。アジア太平洋地域の広告コンサルティングとデータ分析を担当。退社後にCMO株式会社を設立。経産省「始動 Next Innovator」採択。NHK、英紙「Economist」等取材多数。

前の記事

パートナーとの共通言語を作る

「出来ること」と「出来ないこと」を整理する

発注者に必要とされる能力は何でしょうか。最も重要なのは、「出来ること」と「出来ないこと」を整理することです。どんなに優秀な担当者でも、錬金術師のように、無から有を生み出すことは出来ません。存在するリソース(人員、資金など)を使って、より良い施策を考えることしか出来ないのです。

例えば、月間のマーケティング予算が10万円では、爆発的な獲得を望むことは難しいでしょう。「新しいSNSツールを使って爆発的な話題を生みたい」なども、当たれば嬉しい宝くじのようなもので、目標にしてやるには莫大な予算が必要になります。予算の中で出来ることをやるのが優秀な担当者やパートナーであり、過剰に期待を持つのは適切ではありません。

適切な目標を作る

発注側にしか出来ないことの一つは、目標を作ることです。どれだけ優秀なパートナーでも、目標値を設定することは誰にも出来ません。
とはいえ、先程述べた通り、目標の中にも実現可能なものと不可能なものがあります。ある程度努力をすればどの程度の目標まで達成できるのか、それを考えて設定するのはパートナーではなく、自社の社員・役員が行うしかありません。
経営の中で設定した目標値をどの程度にして、その目標を達成するためにどのようなリソースを投入するのかを考えることが「戦略」です。

フローを整理する

フローを円滑に管理・進行することも重要です。目標に対しての進捗管理をはじめ、状況を体系的に正しく理解し、社内に対して適切にフィードバックすることも求められます。
適切に自社のリソースを管理し、複数のパートナーとのリソース分配を見直す必要も出てきます。
深い専門知識を身につける必要はないとしても、パートナーの言っていることが正しいのかどうか、自分の言葉で社内に説明ができるかなど、適切な評価を行い、改善を図っていく上で、コミュニケーション能力もまた、重要な能力です。

学び続ける

最後に「変化に向き合い、学ぶ姿勢をもつこと」も求められます。デジタルマーケティングは常に変化し進化する領域であるため、一度設定した戦略をずっと同じままにしておくことは適切ではありません。

パートナーとの関係性や成果を定期的に評価し、必要に応じて調整を行うことで、目標に向けて推進していくことができます。新たなツールや戦略が常に登場している分野のため、情報をキャッチアップできるアンテナを張り巡らせ、トレンドを把握し、適切に戦略に組み込み、トライしていくことが重要です。

また、各媒体はそれぞれ企業が運営していますので、何か明確なビジョンを持って運営され、適切なサービス提供のため、ルールがつくられ、仕組み化されて提供されています。
そのビジョンや「流れ」を知ることで、今後プラットフォームがどう変わっていくかも予測ができますし、どのような活用をすることがプラットフォームの長期的な可能性に関わることになるのか、理解することが出来ます。
全てプラットフォームの言いなりになる必要はありませんが、「流れ」に逆らって、あえてハックしようとする姿勢は上手くいかないことが多いです。

プラットフォームやデジタルマーケティングの最前線を学び、予測することが、パートナーとの良い関係性を作るためにも非常に重要です。

次の記事

マージンか固定か、双方にとってwin-winな契約方法を考える

新着記事