Hagakure、GORIN、MUGENとは?リスティング広告のアカウント構造について解説
吉岡 佑
佐賀県出身。GMO グループ、アナグラム株式会社などの広告運用専門会社にて大規模広告の運用に従事した後、2021年に当社に参画。
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リスティング広告(検索連動型広告)の設計と運用フロー|②広告の入札・最適化について
はじめに
本記事では、いわゆる「Hagakure」「GORIN」「MUGEN」と呼ばれる、リスティング広告のアカウント構造における考え方について、それぞれ解説していきます。
なぜアカウントの構造を考慮するべきなのか??
広告運用において、アカウント構造を考慮するべき理由は、広告ランクへの影響が出るため です。
リスティング広告の掲載順位は、広告ランクで決まります。
広告ランクは、「入札価格×広告品質」 で決定されます。
この原則を踏まえると、広告品質がよければ、入札額が低くても、より上位に掲載されます。
このとき広告品質を握る鍵となるのが、アカウント構造の善し悪し です。
そして優れたアカウント構造としてGoogleが推奨しているのが「Hagakure」という可能な限りシンプルな構造です。
アカウント構成の良し悪しを分けるポイント
- 日々の運用・改善がしやすいか
- ユーザーが求める情報と広告がマッチするか
- 機械学習を有効活用できるか
アカウント構造の基本 ~Hagakure~
広告運用におけるアカウント設計として、Hagakureと呼ばれる基本構造があります。
Hagakure登場以前(すなわち、自動化が進む前)は、「1広告グループ=1キーワード」の、細分化されたアカウント構造が基本でした。
これはキーワードごとの成果を確認しやすいという利点がありました。
しかし自動化の進展とともに、競合他社よりも改善速度を上げることが重要になってくると具合が悪くなってきました。
細分化に伴いデータの蓄積が遅くなった結果、PDCAを回す速度が遅くなったのです。
その結果提唱されたのが、HAGAKUREと呼ばれるアカウント構造です。
Hagakureは、従来のアカウント設計への反省から生まれたアカウント構造です。
PDCAサイクルを速く回せるようにできる限りシンプルに設計し、データを一つのキャンペーンに集約させることで機械学習をより高速化させます。
広告グループをまとめることでデータ(広告表示回数)を集約でき、キーワードの品質が正しく評価されるのが利点です。
発展形のアカウント構造 ~GORINとMUGEN~
Hagakure、GORIN、MUGEN
HAGAKUREという基本的なアカウント構造理論をベースに、自動運用・データ活用の有効性向上を期して提唱された GORIN と呼ばれるフレームワークが生まれました。
また、この二つを踏まえて、MUGEN と呼ばれる、効率化と効果拡大を追及する発展的な運用体系が確立しました。
GORINとは?
GORINは自動運用の発展以来、Googleが推奨している広告運用の手法で、「ユーザーが求めた情報を正しく適切なタイミングで届ける」ことを標榜しています。
手法とはいえ、「具体的にこうしましょう」というものではなく、あくまで「効率的な運用をするための指標」を示すものです。
以下に上げる5つの要素を改善することで機会損失を減らし、データを一層有効に活用する運用体系です。
なお、既にHAGAKUREを実践していることが前提になっています。
GORINでは機会損失の減少のみならず、自動化によって手動運用ではできなかった効果的な運用の改善が期待できます。
DSAやRLSAによる確度の高いユーザーへの配信比率向上と並行して、確度の低いキーワードの削除や配信設定の抑制も行います(予算配分を適正化し、確度の低いキーワードに振り分けていた予算を確度の高いユーザーに回すことで機会損失を抑えます)。
MUGENとは?
MUGENとは、HAGAKUREとGORINをベースに、
- 今までリーチできなかったユーザーの獲得
- 自動化により入稿や作業工程の短縮
を目的とする運用体系です。
従来のキーワードでは捕捉できなかったターゲットに広告を配信し、ターゲティングの自動化を進め、広告効果の最大化を狙います。
現在リスティング広告のアカウントは 最初からMUGENの考え方に則ってつくることが前提 となっています。
以下が、MUGENにおける3要素です。
MUGENは初動のタイミングでターゲットを広く取り、少しずつ最適化していくので、初動のCPA(顧客獲得単価)が高騰しやすい傾向があります。時間が経過するにつれて適正なCPAに最適化されていきます。
おわりに
本記事では、Hagakure、GORIN、MUGENといった広告運用におけるアカウント構造について解説しました。
広告運用において、ターゲティング選定や入札、PDCAを回すことなど、様々な領域で自動化は著しく発展しています。
そのため、特に機械学習に最適化された「MUGEN」に則ったアカウント構造の重要性は高いと言えます。
本記事が皆様の参考になれば幸いです。
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