パートナーとの共通言語を作る
遠藤 結万
早稲田大学卒業後、Google Japanに入社。アジア太平洋地域の広告コンサルティングとデータ分析を担当。退社後にCMO株式会社を設立。経産省「始動 Next Innovator」採択。NHK、英紙「Economist」等取材多数。
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デジタルマーケティングの理想的な運用を知る
共通言語で会話することの重要性
デジタルマーケティング業界では、略称や通称なども多く、相手のバックグラウンドによっては、異なる意味で理解している言葉も場合によっては、全く異なる意味に受け取れる可能性も十分にあります。
共通言語とは、単に同じ言葉を使うだけでなく、用法や表現、概念、意味についても同様です。
関係者の中であれば誰が聞いても同じ理解ができる言語である必要があります。関係者間の誤認を避け、効率的なコミュニケーションを可能とします。また、単に情報伝達円滑にするだけでなく、共有の視点や理解を形成する側面もあります。チームとしての一体感や連携を高め、目標達成に向かいやすくなります。
共通言語、確立のコツ
共通言語の確立には、時間と努力をかける必要があり、定着するまで運用のコツがあります。
1. できるだけ専門用語や略語を使用しないこと
はじめてコミュニケーションをとるタイミングなどは特に気をつけることで、誤認を避けることができます。丁寧なコミュニケーションを重ねていくことで、双方にバックグラウンドを理解し、徐々に円滑な関係を作っていくことができます。
2. 事前に言葉の定義を明確化し、明文化しておくこと
例えば、オンライン広告では『1件の成果に対してかかる費用』を『獲得単価(CPA)』という表現します。これだけでも誤認をうむ可能性があります。
それは、『1件の成果』が何を表すのか、『費用』が純粋な費用を指すのか、または、必要経費を含む合計費用を指すのか、これらの違いによって『獲得単価(CPA)』に対する評価が代わりうるからです。
クライアントとパートナーが目線を合わせて、有効な手段となります。新しいメンバーやパートナーが加わる度に、共通言語を共有し、理解を促し、一定のサポートが必要となりますので、明文化しておくことも役に立ちます。
よく誤解されやすい単語
広告運用では、沢山の用語が登場します。上げていくとキリがないのですが、いくつか、必須となる用語を紹介しましょう。
1. コンバージョン(CV)
コンバージョンとは、「成果」のことを指します。例えば、ECサイトであれば購入がコンバージョンになりますし、サービスであれば会員登録などがコンバージョンになることが多いでしょう。場合によっては、特定のページの閲覧や動画の再生、SNSのフォローなどがコンバージョンになることもあります。
コンバージョンという概念は、インターネット広告を行う上で最頻出の概念と言っても良いでしょう。
コンバージョンを利用した、周辺の概念もいくつかあります。例えば、CPA(コンバージョン単価)という三文字もよく使われます。これは、Cost Per Acquisitionの略語で、1コンバージョンあたりいくらかかったか?を指します。
CVR(コンバージョン率)などもよく使われます。
2. インプレッション(imp)
インプレッションとは「表示回数」のことですが、デジタルマーケティングに親しんでいないとなかなか見慣れない単語かもしれません。例えば、広告が一回表示されるとそれは「インプレッション」になります。インプレッションに対してクリックされる割合のことをクリック率(CTR)と呼びます。
3. 費用対効果(ROI)
費用対効果、というと簡単ですが、広告業界では厳密に定義することが難しい概念の一つです。そもそも、広告から得られる「利益」とはなんでしょうか。
類似した概念にROAS(広告の費用対効果)というものがあります。これは、単純に広告経由の売上を、広告費で割ったものです。原価などを考慮していないため、利益が出ているかわかりません。
しかし、費用対効果(ROI)に何をいれるのか、人件費や管理コストなどを含むのか、などを考えていくと、関わる人がそれぞれ異なる認識を持っているケースも少なくないのです。
本当にこの広告が自社の利益になっているのか、しっかりと定義したうえで検証することが重要です。
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