リスティング広告に向いている商品、向いていない商品とは?
吉岡 佑
佐賀県出身。GMO グループ、アナグラム株式会社などの広告運用専門会社にて大規模広告の運用に従事した後、2021年に当社に参画。
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【初心者向け】リスティング広告とは?発注前に覚えておきたい基礎知識を解説
はじめに
前回の記事 では、リスティング広告を始める前に必ずおさえるべき基礎知識について解説しました。
しかし、リスティング広告と相性のよい商品もあれば相性の悪い商品もあります。
本記事では、リスティング広告が得意とする商品、苦手とする商品を列挙し、その理由を解説します。
また、リスティング広告が苦手とする商品については、他のアプローチを紹介しています。
リスティング広告を始めることを検討中の方、現在リスティング広告を運用しているが成果が出ずにお悩みの方は、是非ご一読ください。
本稿ではリスティング広告という言葉を以下の二つの意味で使っています。
・検索連動型広告:検索エンジンでユーザーが検索したキーワード(検索語句)を元に、検索結果画面の上部に掲載されるテキスト形式の広告
・ディスプレイ広告(コンテンツ連動型広告):Webサイトやアプリの広告枠に表示される「画像(動画)+テキスト」形式の広告
リスティング広告に向いているもの
以下が、リスティング広告に向いている商品の例です。
それぞれについて解説していきます。
1.検索需要が多い商品
検索連動型広告は、ユーザーの検索キーワードに合致した広告を表示します。
そのため、人気のある家電製品やファッションアイテム、健康・美容商品など、あらかじめユーザーに購買意欲があり、指名買いのような形で検索されやすい商品は、検索連動型広告に向いています。
特に、電化製品のようにユーザーが事前に下調べしており、型番で検索するようなタイプの商品には適した広告だといえるでしょう。
2.ユーザーの課題解決型商品
「ニキビを治したい」など用途が特定されているもの、あるいは水道のトラブルや鍵の紛失サービスといった用途が明確で緊急性が高い商品は検索で探される場合が多いため、検索連動型広告との相性は抜群です。
3.コンバージョンが明確な商品
ユーザーの検索意図に合致した広告を表示するため、リスティング広告はコンバージョン(成果)に直結しやすい傾向があります。
コンバージョンが明確であるとは、広告を見たユーザーに期待する行動が具体的であるということです。
例えば、このような商品が挙げられます。
コンバージョンが明確な商品の例
* 会員登録
* 健康食品や学習教材などのお試し購入
* ダイエットコースやジムなどへの体験入会の申し込み
* 旅行予約サイトでの成約
4.特定の層に向けた商品
リスティング広告は、性別、年齢、居住地、興味関心など個人の属性に基づいて広告を表示することが可能です。
そのため、特定のニーズを持つユーザーや特定のライフスタイルのユーザーに向けた商品はリスティング広告に向いています。
特定の層に向けた商品の例
* 子育て中の親御さん向けのサービス
* スポーツ愛好家向けの商品
5.地域に関連した商品
リスティング広告は、特定の地域に絞ってターゲティングすることが可能です。
地元のレストランやサービス業、地域限定のイベントや特産品などはリスティング広告を活用して集客力を向上させることが可能です。
6.季節限定商品
リスティング広告では、ユーザーが検索を行う度に最適な広告を決定して表示されるため、一時的に発生するニーズに合わせた柔軟な広告展開が必要な商品と相性が良いです。
季節限定商品への活用例
* お中元やお歳暮などの年中行事の商品
* 新製品の発売やキャンペーンのプロモーション
* 連休前の旅行用品の新調をアピール
* 大災害後の防災グッズ販売の需要を喚起する
7.利幅が大きい業界
転職サイトなど人材業界の会員登録のように高収益が見込める業界は、リスティング広告による高い費用対効果が期待できるため、相性がよいといえるでしょう。
鍵や水道のトラブル解決業者も利幅が大きくリスティング広告との相性がよい業界です。
一方で、薄利多売型の業界では、広告費に見合う収益を獲得できない可能性が高いため、別の方法を取るべきかもしれません。
リスティング広告に向いていないもの
リスティング広告と相性のよい商品について解説してきましたが、当然、不向きなものもあります。
以下が、リスティング広告に向いていない商品の例です。
それぞれについて解説していきます。
1.検索されにくい商品
リスティング広告は検索に応じて広告が表示されるため、検索されづらい商品はリスティング広告に向いていません。
検索されづらいものとは、コモディティ化している商材です。
スーパーやドラッグストア、コンビニなどでいくらでも売っているようなものをわざわざGoogleやYahoo!で検索する人はいません。
しかし、Amazonで検索されることはあるかもしれません。
したがって、広告を出すのであればAmazonの中に出した方が良いでしょう。
とはいえ、広告費を掛けた分、商品単価も上がってしまいます。
コンビニで売っているようなドリンク類、お菓子、雑貨などは利幅が小さいので、ネットに広告を出稿しても利益が残らないおそれがあります。
2.高価な商品
不動産や自動車などの高額商品はリスティング広告で売ることが難しいです。
リスティング広告は検索サイトの結果の上部やサイドバーに表示されますが、高価な商品の場合、広告のクリック率が低くなる傾向があるからです。
商品を販売している企業が出す広告を経由せずに、別のルートで情報を比較したいと思うユーザーが多いことに広告のクリック率が低くなる理由があるのかもしれません。
高価な商品の場合、リスティング広告で売ることは難しいですが、リスティング広告を活用することはできます。
例えば、住宅展示場への集客など、売るというゴールの一歩手前のステップを達成するためにリスティング広告を活用するという手法は頻繁に使われています。
他社商品と比較したランディングページへ誘導したり、コンテンツマーケティングを活用することも有効な方法です。
3.専門的な商品やサービス
特定の産業やマイナーなジャンルに関連する商品を扱う場合、オンラインコミュニティや業界団体のWebサイトへ広告を出稿するなど、検索連動型広告よりもさらにターゲットを絞ったアプローチが求められることがあります。
例えば、剣道の防具の広告を出稿したい場合、リスティング広告ではなく、剣道愛好家が集まるWebサイトの広告枠に直接出稿したり、インフルエンサーマーケティングを仕掛けた方が高い成果が期待できます。
4.認知されていないブランドや商品
新たに日本に進出してきたメーカーや新興のブランドなど、「これから認知させたい」ものは、現状では消費者から認知されていないので検索されません。
したがって、検索連動型広告とは相性が悪いです。
認知を獲得したい商品の場合は、マス広告やYouTube広告を使った方が良いでしょう。
デザインや色使いなど、視覚的な要素が多いアパレルであれば、ディスプレイ広告も有効かもしれません。
もっとも、「××で検索」というお決まりのフレーズを別の広告に載せ、これと連動させて検索数を増加させることで、リスティング広告を成功に導けるかもしれません。
5.強いブランドイメージを形成する必要のある商品
高級時計のロレックスのように、強いブランドイメージを形成する必要のある商品は、一般的にリスティング広告には適していません。
ロレックス以外では、知名度はあるがネット通販がされていない商品が当てはまる傾向にあります。
ブランド商品は顧客の興味を惹きつけ、独自の世界観や価値を存分に伝えるための十分な接触時間を必要とします。
しかし、リスティング広告は通常、ユーザーが検索を行った際に短時間だけ目に留まります。
加えて、リスティング広告は競合他社の広告と一緒に表示される可能性が高く、ブランドのプレミアム感や独自性が希薄化するリスクがあります。
ブランド品の場合、ブランドのストーリーや製品の特徴を詳細に紹介するコンテンツサイトを立ち上げたり、オフライン広告を活用するなど、他のマーケティング手法や特別な販売チャネルを活用する方が適切です。
おわりに
本記事では、リスティング広告に向いている商品、向いていない商品を分類し、それぞれについて解説しました。
しかし、上記の分類はいくぶん恣意的な部分もあり、絶対的な正解ではありません。製品やサービスごとに売り方は様々で、解答には幅があります。
たとえばローンのような手に取りづらい抽象的なサービスを売りたいとしましょう。
自動車ローンは比較的検索されやすいワードです。
しかし、広告がクリックされて成約に至るかというと、話は別です。
自動車販売の世界ではどうしてもディーラーが持つ力が強いので、ディーラーとつきあいのある会社のローンを組むことになります。
したがって、広告を出しても売り上げが伸びづらいでしょう。
一方、カードローンであれば、個人の判断で直接申し込みができるため、リスティング広告やディスプレイ広告がよく使われます。
つまり、このローンの例が示すように、結局のところ商品やサービスの最適なマーケティング手法は、置かれた環境や特性に左右される部分が大きいと言えます。そのため、過度な一般化は危険です。
本記事を参考に、自社の商品が置かれた状況を分析してリスティング広告を出すべきなのか、別の方法を取るべきなのかを検討してみてください。
次回は、リスティング広告の設定前に考えるべきことについて、Webマーケティング全般に触れながら解説します。
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