Sunset in the mountains

デジタルマーケティングのフローを知る

遠藤 結万

早稲田大学卒業後、Google Japanに入社。アジア太平洋地域の広告コンサルティングとデータ分析を担当。退社後にCMO株式会社を設立。経産省「始動 Next Innovator」採択。NHK、英紙「Economist」等取材多数。

知識をつけなければいけない?

広告代理店などのプロフェッショナルに広告運用を委託する際に、どの程度の知識をつける必要があるのでしょうか。

例えば、弁護士を雇う際に法律の知識が必要だと言われたり、医者にかかる際に医学の知識が必要だ、と言われたら、そんな面倒なことをしたくない、と思うでしょう。

しかし、広告運用を行う際には、一定の知識がないと、十分なパートナーシップを結ぶことが難しいのが現実です。下記に理由を説明します。

良いパートナーを選定するのが難しい

レストランを選ぶときにはレビューを参考にすることができますが、残念ながら広告代理店や業務委託パートナーを選ぶ際には、参考にできるレビューが少ないのが現状です。

 広告代理店の中には、必要なサポートを提供しなかったり、十分にコミュニケーションしない企業も少なくありません。

 それらの企業を見分けるためには、クライアント側も一定の知識を持つ必要があるのです。

担当者によってサポートレベルが変わってしまう

 また、評判の良い広告代理店であっても、担当者によって知識のレベルやサポートレベルがかなり異なるケースがあります。

 このようなケースでも、言い方は悪いですが、より知識のあるクライアントに知識のある担当者がつくケースが多く、クライアント側が知識をつけておくに越したことはありません。

施策の良し悪しを判断しづらい

 また、広告代理店などから提案された施策を実施する上においても、それが本当に実効性のある施策なのか、あるいは単に予算を消化するためだけのものなのか、判断し、かつ適切にPDCAを回していくためには、クライアントにも知識が必要になります。

一貫したフローを確立する

内製化するとしても、広告代理店などのパートナーと契約するにしても、デジタルマーケティングを、戦略として効果的に展開する際には、一貫性を持ったフローを確立し、ステップごとに具体的な「戦術」を策定・実行することが不可欠です。

現代のマーケティング環境は、新しい技術やツールの急速な進展により、日々の知識更新が求められるものとなっています。このような変動の激しい環境下でも、市場やユーザーのニーズの変化を捉え、ユーザーに寄り添いながら社内外の協力と理解を得て取り組む必要があります。

限られたリソースを最大限に活用し、効果的なデジタルマーケティング活動を実施するためには、目標達成の道のりやユーザーとの強固な関係を築く方針を、事前に詳細に計画し明確にすることが求められます。

具体的なデジタルマーケティングのフローを考える

 では、具体的にどのようなフローを構築する必要があるのでしょうか。ステップごとに考えてみましょう。

1. 目標設定 

ビジネスの成功のための第一歩は、「目標設定」です。まず、ビジネス全体のビジョンと目標を明確化します。これを元に、デジタルマーケティングの具体的な目標を洗い出します。マーケティングの目標は、経営層から示されるビジネスの大枠の目標を、具体的かつ評価可能な数値目標へと変換することが必要です。

 例えば、新規ユーザーの「登録数」や重要なKPIである「成果の件数」などが挙げられます。

2. ユーザー・市場の理解

成功の鍵は「ユーザーと市場の深い理解」にあります。潜在的な顧客やユーザーのニーズを把握すること、そして競合他社や市場の動向を知ることで、マーケティング戦略をより緻密かつ効果的に策定します。ユーザーインタビューやアンケート調査など、さまざまな手法を駆使して情報を収集し、そのデータをもとに仮説を立てることができます。

> 3. マーケティング戦略の策定

目標が具体化され、ユーザーや市場に対する洞察を得たら、次は「戦略の策定」の段階へと進みます。仮説をもとに、SEO、オンライン広告、コンテンツマーケティング、SNS、メールマーケティングなど、多岐にわたる手法から最適なものを選択します。各手法の特色や効果を正確に理解し、自社のサービス内容をふまえて効果を最大化させる方針を固めることが大切です。

4. 実行と最適化

 戦略の策定ができたら、「実行と最適化」です。策定した戦略に基づき実行していきます。マーケティング手法が多岐にわたり、それぞれが複雑なため、実行しているつもりでも、実は意図しない施策になっているケースも多くあります。せっかく策定したマーケティング戦略を意図通りに実行できなければ意味がありません。正確に実行できる体制を構築することに加え、常により良い方法はないかを模索しながら最適化を図る必要があります。

5. 分析と改善

最後に「分析と改善」です。デジタルマーケティングの大きな魅力として、豊富なデータが利用できることが挙げられます。これらのデータを効果的に可視化し、分析することで、仮説の検証や戦略の微調整が可能となります。

最終的には、これらのステップを周期的に繰り返すことで、ユーザーや市場の変化に応じて常に見直しをしていく必要があります。

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